〜ダイスケの部屋〜


 「段位の概念と、その内包するもの(その1)」 
 
 
 



12月某日

(自分も含めてだが)段位について悩みを持っている人が散見されるため、
少し考察してみる。考察と言っても、知っている事柄を文章化することで
再構成し、理解しやすくするだけである。あまり思考はしていない。

段位は、修行の度合を計ったものである、と定義される事が多い。
#実技面、精神面を含めて計るのがほとんどだが、実質的には精神面は
#考慮の対象に入らない場合もある。精神面は定性的、あるいは定量的
#評価が難しいからであろう。
その割に、段位と強さがリンクしていない場合があるのは何故だろう。


一つには、段位が既得権の性質を持っている事が考えられる。
何年休もうが、腕前が落ちようが、段位が落ちたというのは私は聞いた事が
ない。降段審査も行われない。習得したスキルが一生レベルダウンしない
のであれば、どんなに良い事だろう、とは思うけれど。
という事は、実技の審査を課そうが、厳密な意味での客観的な強さの指標には
なりえない。せいぜい、受審日のコンディションが分る程度である。
#客観的要素として、(ほとんどの場合)修業年数の目安にはなる。
#先輩(兄弟子)だ、と分るわけだ。


もう一つは、そもそも巻物の類と段位の関連、及び分化の不明確さが
考えられる。元来武術には巻物しか無かったが、これは個人(師匠)が
個人(弟子)に対して出すもので、団体活動とは相容れない。ここで
発生したのが段位である。

段位を武術流派の巻物に置き換えると(例示に過ぎない。)
四段=師範代候補=目録
五段=師範代、かつ師範候補(級位の審査権)=仮名字(目録)
六段=師範(段位の審査権)、弟子取立=取立免許
七段=免許皆伝候補(師範代(指導員)の審査権)=本目録皆伝
八段=免許皆伝(免状発行権)=指南免状
といった所か。九段は皆伝より上位者であるから、宗家やそれに準じるもの、
といった所になる。

各段階には術許し、義理許し(貴人や主筋など師匠より優位にある場合に出る)、
金許しがあったともされる。術許し以外は力量とはあまり関係ない
訳である。

各段階において与えられる権利(?)となっているのは、どちらかと言うと
指導面である。これは強さを保障するものではない。
#指導をするならば当然腕が立たねば駄目であろうが、、
##50人組み手達成、なんて所や10人抜き(10人目は真剣)なんて所も
##あろうが、こちらは少数派である。ただし、この方が分りやすい。

谷大先生が巻物も商売である、と書くのもあながち間違っていない
と感じさせる。より上位にいけばいくほど、指導の権利から免状等の
発行権利へと変わっていくからだ。
商売で入ってくる額がより上がっていくわけだ。

 
                                
                                      
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