岩 目 地 先 生 語 録
平成17年8月23日
昇段審査及び大会における、居合道の術の判断基準を電話にて聞きました。
要約すると以下になります。
居合における型試合というのは、本来成立しないと考える。静の武道、例えば禅のように心身を錬るものに近いような気がする。つまり、自己満足の世界である。(ひたすら自己と向き合えばそれでよい)
よって、客観的な判断は、極めて難しい。据えもの切りは、客観的判断が明確である。しかし、これはこれで技術と修練が必要とされるだろうが、居合とは別物だと思う。
一刀両断にしなくとも、相手を戦闘不能に陥らせることは容易であり、急所を的確に狙えば、軽く切ったでけで生命を奪うことは出来る。
あえて審査するならば、武術である以上、気剣体の一致ということになる。
一、気においては、獅子王剣の座したる姿勢は地に踞する威。立身は窟を出ずるかの態で ある。
二、剣においては動着則光清ということになる。
まず、正確な斬撃がなされているか。そして、斬撃のスピードを見る。
刃音と切るスピ−ドは別物である。刃筋が通るのと、刃音がするのもまた別物のよ うな気がする。
ただし、巻藁等の試斬と刃筋が通るのは一致するので、稽古に於いては確認する必 要がある。
三、体においては斬撃に対応する姿勢である。間合、体捌き等々
@姿勢は重要。まず第一に見るのは腰の据わり具合である。
そして、背筋が通っているか。戦場における闘争に於いては、背筋の問題はおそ らく無いであろうが、決闘(多人数も含む)を想定した江戸時代以後の近代武道 に於いては、姿勢は大事である。攻防の場面における間合、体捌きを考えた場合、 姿勢を正しくすることが重要。
A体を捌く場合、斬った場合に上体がぶれていないか。上体がぶれては駄目である。
斬りつけた時に、身体がそれに対応する体勢になっているか。身体が突っ込んだ りしては駄目である。
B中心線(正中線)を崩さないこと。転回の時に軸をずらしては駄目である。あた かも独楽が回るように、転回せねばならない。
以上の、気剣体の三者が一致して初めて、見る人を感動させる居合術となり、前述の自己と向き合う時に、道となる。
技の優劣は、演武者の修業の過程を自然に発すると考える。
審査及び試合の審判の時は、以上の点を判断材料にする。
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